2013年2月25日月曜日

未払い残業代請求につて

未払い残業代請求

「未払い残業代請求」これからホットになっていくだろう話題です。
なぜ未払い残業代請求がホットになっていくかと言うと、

①大抵の会社で多かれ少なかれサービス残業が行われている。
②経営者の危機意識が希薄で対策が練られていない。
③終身雇用制度が崩壊して、人材の流動性が高まったので社員の出入りが激しくなった。
④弁護士と司法書士がサラ金の過払い請求の次のターゲットにしつつある。

など、未払い残業については今後の注目分野になっていくことは間違いないと思っております。

大抵の場合は、会社を退職した社員から、手紙や内容証明郵便、弁護士、司法書士などが介在して請求を掛けてくることから始まります。
社会保険労務士は、多くの場合は企業側について企業防衛の手伝いをする立場になることが多いかと思います。

従業員側は未払い残業代について、労働基準監督署に駆け込むこともあります。
労働基準監督署は、申し立てがあった場合「臨検」を行う事があります。
臨検には、「定期監督」と「申告監督」があり、誰かがチクった場合、怖い怖い「申告監督」になります。
申告監督があると、色々と調べられて、労働者名簿の不備や、賃金台帳の不備、出勤簿の不備などを調べられた上げく、未払い残業などがあれば過去2年にさかのぼって支払うよう命じられます。
(使用者側からすると、怖いですね~。嫌ですね~。)
そして、労働基準監督署からは「是正勧告書」なるものが発行されます。
「お前の会社ちゃんとしとらんだろ。ここと、ここが!ちゃんとやって報告書つけて出してこいや。」と言う内容の紙です。
未払い残業代の問題だと、「ちゃんと払いました~。ほら、振込確認の紙もつけたから。」と言うように、資料もつけて報告を出さなければいけません。

他にも、従業員側は、労働組合に参加して団体交渉を要求してくることも考えられます。
(労働組合に入ると、団体交渉で組合から助けてもらえます。ただし、次回からは他人の団体交渉を手伝ったりと、色々と自分自身が助ける側に回らなければいけなくなります。ただ、会社は多勢に無勢で来られると、心理的に怖いし嫌だし早く解決したくなります。)
どちらにせよ、会社側からすると労力とお金がたっぷりかかることが予想されます。
(未払い残業分だけでなく、それに対応する人の人件費もかかります。)

未払い残業代請求だけだと、こじれて訴訟になったとしたら、被告人企業の所在地管轄の裁判所での裁判になりますが、未払い残業だけでなく、精神的苦痛を被ったための慰謝料請求もセットされた場合、原告側の所在地裁判所に提起することとなります。
東京の会社に勤めていた人が、那覇地裁に申し立てられたら、、、、。
企業側は移動費だけでもムッチャかかります。
企業側は弁護士を立てて、応戦するよりも言い分通り払った方が安いなら払った方がいいと思うかもしれません。

弁護士と司法書士が未払い残業代請求について新たな市場と考えていることもホットな話題の一つとなります。
弁護士と司法書士が、未払い残業代請求をたくさん手がけているのは、TVやラジオのコマーシャルで流れているのでご存じのことでしょう。
この未払い残業代請求もあと数年で、終焉を迎えます。

最近サラ金のコマーシャルもあまり聞かなくなったね~。
実は名の知れたサラ金会社でも倒産した会社が結構あるんですね~。
となると、今まで過払い金請求で大きく膨れ上がった弁護士事務所や司法書士事務所は、次なるターゲットを探し始めざるを得なくなります。
私を含めてどの士業でも食べていくのに必死なんです。
特需で大きくなった事務所はそれだけ仕事をこなさないと維持していくこともできません。
そこに来て未払い残業代請求は格好のカモなのです。

なぜなら相手は法人で、多かれ少なかれたいてい未払い残業って存在していて、さらに今までの過払い金請求と違って、顧客はサラリーマンほぼすべてと、ターゲットは企業ほぼすべてになるので、市場からするとムチャクチャ大きな大きなそれは大きなマーケットとなるのです。

で、企業の経営者と私が話す時に、
「残業代ちゃんとはらってます?」
と訊いたら、
「そんなもん払っとったら、うち潰れてまうわ。大体みんなそんなん払ってへんし。」
な~んて声が返ってきたりします。

「私は、そうですか。ま~、残業代を払うかどうかは社長さんの考え次第ですからね~。ただ、後々もめると困りますよ~。」
といった程度の返答をしています。

 私に言わせれば、残業代払っていない会社なんて遅かれ早かれ潰れます。
というか、潰されます。
有給休暇は取らせないわ、賃金はまともに払わないわで済まされるわけはないのです。

ある日突然支払の請求書が届くのです。
毎月5万円24か月分で120万円。
それが、一人ならまだしも5人も10人も同時に、、、。
しかも、会社を辞めてから請求が来るので退職金支払いも同時に来るので、果たしてその金払えますか?
労基署の指導が入った場合だと会社全体なので、10人の会社だと1200万円かもしれません。
100人の会社だと1億円を超えちゃいます。
3月の年度末に1億円払えますか?
払えたとしても会社として赤字になりますよね。
赤字を出したら、取引先への支払い条件だって変ってみたりしませんか?
銀行への借り入れも条件が変更されたりしませんか?
真綿で首を絞められるように資金繰りに窮すことになりませんか。

月々の積み重ねの数万円で足元をすくわれるのです。
しかも、極悪な社長の会社だけではなく、社員思いのいい社長の会社でも起こるかもしれませんよ。
だって、辞めた社員は、会社や社長に恩になった恩義はあっても、日々の生活費には困っているのだから、正当にもらえるものは心が痛んでももらわないと生活できないですからね。

いい社長さんは、
残業代も払ってあげられないのに、みんな一生懸命働いてくれて悪いね~。
ボーナスでその分は補填するから。
な~んて、言いつつボーナスを払っちゃったりします。
ダメです!
ボーナスは、業績によって払えるのなら払うもの。
残業代は、働いたから払うものです。
年間の人件費として同じ金額を払うのなら、ボーナスなしでも残業代を払うべきなのです。(社会保険ろうは上がりますが。)
そうしないと、危険回避は出来ません。
それに、サービス残業は毎日の恨みつらみの蓄積になりますが、ボーナスは一喜一憂で終わってしまうものです。(社長が思うほど社員は何とも思ってないですよ。)
大体、私も含めて3回前のボーナスなんていくらだったか覚えてもいないし、銀行に振り込まれて終わりなので、長期的にはモチベーションにあまり関係していないのです。

という事を考えて、少しでも早く対策を練ってほしいと思います。
といっても練り方がわからん。
と言う方は、少々金はかかっても我々専門家に声を掛けてもらいたいと思います。
 自分でやってうまく行ったらいいですが、中途半端な知識で中途半端な対策を取って、結局自ら墓穴を掘ることもあるかもしれません。
何も対策を練らずに、請求されてから相談を受けると「手遅れです。」払うべきものは払うしかありません。としか答えようがありません。
最悪「御社はご臨終です。」という事になってしまうかもしれません。
そう考えると、ちょっとばかり社労士にお金を払ってもいいんじゃないかなと思ったりする今日この頃です。

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